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~sweetest~ AMANE

-離さない-


「・・・どこに行きやがった。」


庭はかなりひろく、至るところに茂みや垣根があり、なかなか鈴をみつけられない。


「・・・なんでこんなに広いんだよ、この家は・・・。」


ようやく・・・ちらり、と視界の片隅に、赤いものが見えた。足音を忍ばせて近寄って行く。


茂みの陰に赤紫色が見える。それはしゃがみ込んでがたがたと震えていた。その背後から声をかける。


「・・・おい。」


「ひっ!」


見上げる眼が潤んでいる。カチカチと聞こえるのは、震えで歯がぶつかる音らしい。


「・・・立て。」


仕方なく立ち上がる鈴。そんな鈴を、天音は静かに見下ろしている。


「なんで逃げた。」


「・・・・・・。」


「鈴。」


「びっくり・・・して・・・あんなこと言うなんて、思わなかったから・・・。」


「だから鈍感だって言うんだよ。」


“ぐいっ”、と鈴を引き寄せ、しっかりと抱きしめ、その存在を確かめるように何度も背中をなでている。


「鈴。・・・お前は?」


耳元でささやく。


「?」


「言えよ。」


「何・・・を?・・・」


抱きしめられる力が強くて、声がかすれる。


「オレのこと、好きだろ?言えよ。」


「早坂・・・。」


「違う。」


「?」


「 『天音』だろ。・・・呼んで。」


「天音・・・?」


「ああ。・・・鈴、言えよ。オレのこと、好きだって。」


鈴の髪をひとさしすくい、愛しそうに口付ける。


「だって・・・。」


「?」


「きっと、嫌になるよ?こんなうちの子・・・。普通じゃないもの。」


「鈴。」


「そうなったとき、あたし、」


「ならねぇよ。」


「・・・でも。」


「バカが。」


天音の腕に力がこもる。


「・・・親だの何だの、そんなもん、関係ねぇんだよ。入れもんなんか、どうだっていい。」


天音はゆっくりと鈴の顔を上に向け、唇をかすめる位置にまで近づけた。


「離さねぇからな。」


そういう天音の表情は、今まで見たこともないほどに穏やかでやさしいものだった。


ゆっくりと唇が重ねられた。


「・・・絶対ぇ離さねぇ。」


抱きしめる腕に、また力がこもった。









「なぁ、これ、自分で着たのか?」


「着物?うん、そうだよ?」


「・・・あっちに、着物って、持ってるか?」


「・・・浴衣なら、一揃え、あるけど・・・?」


「じゃぁ・・・。」


「?」


「今度、着ろよ。・・・町娘とお代官ごっこやろうぜ。」


「・・・・・・・・・変態っ!!」


「バカいうな、男のロマンだ。」


「何言ってんの、何言ってんの、何言ってんの!?」


じたばたと腕の中で暴れている鈴を、天音は声を上げて笑いながらたやすく抱きしめた。


そしてもう一度、今度は深く深くその唇をふさいだ。




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