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~sweetest~ 32

-想い-


「好きなんだよ。」


天音のその言葉を聞いた瞬間、鈴は天音の手をすり抜け、足袋のまま縁側から庭に逃げ込んでしまった。


「逃がすかよ。」


天音もそのあとを追う。


部屋に残された鈴の両親、亮輔とかずほの身体から力が抜ける。


「・・・お茶がすっかり冷めてしまったわね。」


百合子がつぶやく。


「・・・なんか・・・すいません、アイツ、全然周り見えてなくて・・・。」


亮輔が2人に頭を下げる。かずほも一緒だ。


「いや・・・ありがとう。」


総一郎が深々と頭を下げる。


「この家にうまれたことで、泣かせてばかりでね。友達もできない、できてもすぐに壊れてばかりで、つらかっただろうに、それでも・・・親の欲目かもしれないが、まっすぐに育ってくれたと思う。」


「これからも、あの子を・・・よろしくね?」


両親の言葉に、亮輔とかずほはしっかりとうなづいた。


「失礼します。」


いつの間にか消えていた誠也が部屋に入ってきた。


「どこにいた。」


「詰め所に。・・・僕、天音くんに嫌われてますんで。」


笑いながらいう。


「お寿司、届きました。」


おおきな入れ物をもった男たちが次々と現れる。


「お吸い物を・・・。」


「あ、あたしも手伝います!」


台所にたった百合子のあとに続き、かずほも席をたった。






台所。百合子が小さくため息をついた。


「・・・そうねぇ、もう、鈴もそんな年になったのね。」


その顔には、うれしさと幾ばくかの寂しさが浮かんでいた。


「いつまでも、無邪気でいてくれることに、私たちは甘えていたのね。」


「・・・おばさん。」


「かずほちゃん。」


「はい。」


「これからも、本当に・・・仲良くしてやってね?うちの家業はこうだけど、あの子は一切関わっていないから。」


「・・・はい。」


湯気とともに出汁のにおいが立ち込めてくる。


「あたし・・・あの子、大好きですから。」


「・・・・・・ありがとう。」


「・・・あ。」


「何?」


「鈴は、ホントは『千崎』って名字なんですよね。」


「そう。『藤代』は私の旧姓。『千崎』だと、何かとね。」


「そうなんですか・・・。でも、どっちでもいいです。鈴は鈴だし。」


「ありがとう。」






がんばれ、早坂!


がんばれ、鈴!


どうか神様、お願いします。





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