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~sweetest~ 23

-迎え-


天音たちがばたばたとマンションに駆けつけると、鈴は男性に抱きあげられて車に乗せられるところだった。意識はなく、ぐったりしている。


男性は年の頃は30代前半くらい、仕立てのいいスーツを身にまとい、袖口からは高級腕時計が見えている。


「ソイツをどこへ連れて行く?」


いきなり天音に腕を掴まれた男性。面食らっていたようだが、しばらく3人の顔をじっと見て・・・


「ああ!」


と大きく頷いた。


「早坂くんと、森村くんと、安西さんだね?・・・君たちがそうかぁ・・・。はぁ~、なるほど~。」


「あぁ?」


「悪いけど、すぐにでも病院に運びたいんだ。話はあとにしてくれないか。」


「病院?」


「全く・・・無理をするなと言ったのに。こんなになるまで我慢して。」


「アンタ、誰なんだ。」


「だから、あとで話すよ。・・・そこの喫茶店で待っていてくれ。1時間ほどで帰ってこれると思う。」


それでも腕をつかんだままの天音。そのとき。


「う・・・・・・い・・・た・・・ぁ・・・。」


顔をゆがめて苦しがる鈴を見て、天音の手の力が抜ける。


「待っててくれ。」


男性はそういい残すと、黒いベンツを静かに出した。


“ぎりっ”、と、音がするほどに天音は唇をかみ締めていた。


待つ時間というのは、どうしてこんなにも遅く過ぎるのだろうか・・・。


3人の前に置かれたコーヒーは、すっかり冷め切ってしまった。


誰も口を開かない。重苦しい雰囲気がその場を包んでいた。


テーブルを叩く天音の指先だけが音を立てていた。





ブログ村 恋愛小説(純愛)

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