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~sweetest~ 8

-舌打ち-


「あのねぇ、確かに今じゃお化粧しない子のほうが少ないし、うちのガッコは私服だから、メイクばっちりの子も多いけど、あたしはホントに何にもつけてないの。母から言われてるの、 『女の化粧は戦闘服みたいなものなんだから、まだ鈴には必要ないし、しなければならないときは必ず来るんだから、すっぴんで勝負できるうちはそのままでいなさい。』 って。あたしだって、多少は興味はあるし、してみたい気持ちもあるけど、とりあえず今はしてないし、もちろん香水もつけてないの、わかった?」


天音にふりむいた鈴は、一息“すぅっ”っと息を吸い込むと、一気にまくし立てた。勢いに天音の身体が下がる。


「・・・じゃあ、マジでこの匂い、何なんだよ。」


「・・・どんな匂いなの?」


「甘くて、甘すぎなくて・・・いい匂いがする。化粧や香水みたく、ケバくなくて。」


「でも、ホントに何もつけてないんだけどな・・・。」


くんくんと自分を嗅いでみるが、鈴には見当がつかないらしい。


「じゃあ、これ、“お前の匂い”なんだ?」


「うーん・・・。って、ちょっと、早坂?」


鈴の手を引き、自分の胸に抱え込むと、その首筋に天音は顔をうずめた。




「何っ・・・!」


「嗅がせろ。」


言うが早いか、首筋から胸元へと鼻先が降りていく。


「や・・・だ、ちょっと!」


身をよじって腕から逃れようとするが、よけいにしっかりと抱きしめられる。かなりの力で、身動きができない。


「暴れんなよ。」


「離してよ!」


顔を真っ赤にして叫ぶ鈴。それを見て、ニヤリと天音の唇が上がる。


「前言撤回。」


「?」


「・・・もっと暴れろよ、そのほうが匂いが強くなる。」


「・・・変態!」


「すっげ、いい匂い。」


言いながらも、鼻先が身体の上を動いていく。いつの間にか背中に回された手も、そこをゆっくりとなでている。


「やだぁっ・・・。」


=ピンポーン=


インターフォンのチャイムがなる。


一瞬の隙をついて、思い切り天音の腕をふりほどく鈴。


「はははは、はいっ?」


『何、噛んでんの~?あーけーてー。』


救世主の声。


「かずほーっ。」


『森村も一緒だよ~?』


「いい!いいから早く上がってきて!」


もつれる指でようやくロックを解除する。


“ちっ・・・”かすかに舌打ちが聞こえた。



「そっ、そこから絶対動かないでよね!」


鈴はドアノブにしがみつき、半泣きで叫んでいた。

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