スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

~sweetest~ 3

-指先-


天音は、ゆっくりとゆっくりとジッパーを下げ始めた。


かすかに震える鈴の反応を見ながら。


「・・・痛くねぇか。」


「うん・・・大丈夫。」


それでも、どうかすると髪を引いてしまうらしく、ピクッ、と動く肩に天音の指はその動きをとめる。


「ごめん・・・本当に大丈夫だから。」


「黙ってろ。」


複雑に絡みついた鈴の髪を丁寧に丁寧にはずしていく天音。


遠くに聞こえる合唱や、体育の歓声が、まるで別世界のことのように思えた。


伝わってくるぬくもりと感触。


聞こえるのは、互いの息遣いと鼓動。


さらさらと風に揺れる鈴の髪の音。


そして・・・。


「取れたぞ。」


その声の聞こえた瞬間、鈴は大きなため息をつき、大きく伸びをした。


「ん~~~~~っ!」


「おい。」


「・・・はい。」


「お前・・」


「あ、ありがとう!それから・・・ごめんなさい。」


天音のせりふに食いぎみに叫ぶ鈴。最後の”ごめんなさい”は消え入るほどだったが。


「今度から、前見て歩け。」


「すいませんでした・・・。」


「それから。」


「?」


「・・・降りろ。」


「・・・・・・ごっ、ごっ、ごめっ・・・ごめんなさい!」


未だに天音の膝の上にのったままになっている自分に気がつき、鈴はあわててとびおりた。


ポケットから携帯を取り出して時間を見た天音は、ごろりとベンチに横になった。


「あの・・・。」


「あと20分。」


「?」


「5時間目終わるまで、あと20分だ。」


「・・・うん。」


そう言って眼を閉じた天音の傍らに、鈴も腰を下ろした。


火照った顔に、風が優しく触れた。

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。